(2)南極大陸のオゾンホール(2008年 Version)

 

 1)2007年10月の南極上空のオゾンホール

 2006年に最大級に発達した南極上空のオゾンホールは ,2007年には最近10年間で3番目に小さい規模でした。気象庁の発表記事によると,小規模になった理由は,@7月から8月にかけて南半球中・高緯度の成層圏の気温が平年並みでオゾンホールが発達する気象条件ではなかったこと,A9月中旬に南半球成層圏で突然昇温が起こり,成層圏の気温が高くなったためと説明しています。

 米国航空宇宙局(NASA)提供の衛星データをもとに気象庁が作成した,1979年10月と2007年10月の月平均オゾン全量の南半球分布図を図1に示しました。 灰色で表した220m atm-cm以下の領域がオゾンホールと呼ばれています。1979年10月には,オゾンホールは発生していなかったことがわかるでしょう。

 ) 南極上空オゾンホール面積の経年変化

 2007年までのオゾンホールの経年変化とオゾン全量の経年変化も気象庁から報告されているので,その中から「オゾンホールの年最大面積」と「世界のオゾン全量」の資料を拝借して紹介しておきます。

 図2に示したのが,1979年から2007年までの南極上空のオゾンホール年 最大値の経年変化です。グラフの右座標メモリは,南極大陸との面積比で示してあります(1.0が南極大陸の面積です)。2000年までは,オゾンホール面積は増大し 続けていましたが,それ以降は,年による変動はありますが,ほぼ一定値を維持しています。

 3)世界の全オゾン量の経年変化

 世界の北緯70度から南緯70度における1970年から1980年までの地上観測値から計算されたオゾン全量の平均値と比較した,1970年以降の世界各地の地上観測値(緑色実線)と, 1979年以降の人工衛星からの観測値を用いて計算した世界の全オゾン量平均値(青丸印)の経年変化を増減量(%)で示したのが図3です。ここで示した像減量は,季節変動,太陽活動による変動,約2年の周期を持つ成層圏循環の変動(QBO)などの影響は除去していると説明されています。

 世界の全オゾン量も南極上空のオゾンホール面積と同じように2000年頃までは減少を続けていたが,それ以降は,はっきりした減少傾向は見られず,ほぼ横ばいの状態となっているのが分かります。

 4)世界の観測点での大気中のクロロフルオロカーボン類濃度の経年変化

 気象庁が発表した,世界各地で観測されている大気中のクロロフルオロカーボン類の濃度の経年変化を図4に示しました。観測データは、温室効果ガス世界資料センター(WDCGG)が収集したデータを使用し ています。気象庁が発表した記事の内容も以下に紹介しておきます。

 『工業生産による濃度増加とモントリオール議定書締結を受けた生産規制による増加の停止または減少傾向がはっきり見て取れます。要素別にみるとCFC-11が北半球で1992〜1993年頃、南半球で1993〜1994年頃を境に、増加からゆるやかな減少傾向に転じています。CFC-12は、1990年頃から増加率が低下し始め、現在ではほぼ変動のない状態となっています。CFC-113はCFC-11と同様の傾向を示し、北半球で1993〜1994年頃を境としてゆるやかな減少傾向に、南半球では1997年前後を境としてゆるやかな減少傾向に転じています。これらの傾向の違いは、放出量の減少と共に、それぞれの物質の大気中の寿命を反映していると考えられます。 』

 5)オゾンホール破壊にブレーキがかかった

 1985年に,「オゾン層の保護のためのウイーン条約」が採択されて以降,オゾン層破壊の重要犯人である『フロン』の生産中止と使用禁止が功を奏し,地球スケールでのオゾン層破壊に歯止めがかかったようです。現状から快復するまでにはまだ多くの時間を要することと思いますが,人間の知恵で自然破壊を止めることができることを証明したといえるでしょう。

 地球温暖化問題は,毎日の生活に密接に関わる問題で,利害も複雑に絡んでおり,オゾン層破壊問題とは比較できませんが,人間の知恵で,何とか地球温暖化も阻止できることを期待したいものです。