台 風
赤道より北で,東経100度と180度の間の北太平洋西部に存在する熱帯低気圧のうち,最大風速が17m/s以上になったものを台風と呼んでいます。 世界的に見ると,北太平洋西部以外でも強い熱帯低気圧は発生しています。多く発生しているところをあげておくと,北太平洋東部,北インド洋,南インド洋,北大西洋西部,北大西洋東部,オーストラリアの東から西に広がる南太平洋西部です。
気象庁は台風の勢力を示す目安として「強さ」と「大きさ」で表現しています。台風の「強さ」は最大風速の大きさで,下表に示したように『強い』,『非常に強い』,『猛烈な』の3つの階級に,台風の「大きさ」は強風域(平均 風速15m/s以上の強い風が吹いている範囲)の半径で,『大型』と『超大型』の2つの階級に区分して発表しています。さらに,強風域の内側で平均風速25m/s以上の 暴風が吹いている範囲を『暴風域 』と呼んで,注意を呼びかけています。
台風の強さの階級分け
階級 | 最大風速 |
強い | 33m/s(64ノット)以上〜44m/s(85ノット)未満 |
非常に強い | 44m/s(85ノット)以上〜54m/s(105ノット)未満 |
猛烈な | 54m/s(105ノット)以上 |
台風の大きさの階級分け
階級 |
風速15m/s以上の半径 |
大型(大きい) |
500km以上〜800km未満 |
超大型(非常に大きい) |
800km以上 |
台風に関する情報の中で,「大型で強い台風」と発表しているのは, 風速15m/s以上の強風域の半径が500km以上800km以下で,中心付近の最大風速が33〜43m/sで,暴風域を伴っている台風のことです。なお,天気図上では,暴風域を円形で示しますが,この円内は暴風がいつ吹いてもおかしくない範囲という意味です。
右に示した図は,「高知大学気象情報頁」から拝借した日本時間2005年9月9日9時の『ひまわり』からの雲写真です。熱帯地方に沢山の雲の群れが映し出されていますが,この付近は北半球の北東貿易風と南半球の南東貿易風が衝突するように合流する領域で,天気予報などでよく耳にする<熱帯収束帯>と呼ばれているところです。
熱帯収束帯は上昇気流が発生しやすく,地球上で最も積乱雲の発生しやすい領域なのです。しかも,海水温が高いため,大量の水蒸気が上空に運ばれるので, 発生した積乱雲は背の高い積乱雲へと発達しやすいところになっているのです。次々と発生した積乱雲が多数まとまって大きな渦(熱帯低気圧)を形成するようになると,台風の卵の誕生です。